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日々考えよう


by kunihisaph
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数学は最善世界の夢を見るか

イーヴァル・エクランド『数学は最善世界の夢を見るか』

http://www.amazon.co.jp/dp/4622074672

ライプニッツによると,この現実世界は,可能な世界のうちでもっとも善い世界だという.

ライプニッツより後の時代のモーペルテュイは,「作用量がもっとも小さくなる運動が実現する」という「最小作用の原理」こそが,神がこの世が最善になるように世界をつくった証拠だとする.

ところが,(光も含めた)物質の運動はつねに作用量がもっとも小さくなるわけではない.厳密に言うと,成り立っているのは「作用量が停留値を取るような世界」が成り立っている.

最小値が停留値になることによって,「神秘性」がややうすれた.しかも,(本書では言及されていないが)最小作用(停留作用)の原理ってラグランジュ方程式から導かれるんじゃなかったっけ?

というわけで,そういう目的論的世界観は,ついに物理の世界からは消えてしまった.

また,後半では,生物の世界や社会学にまで「最善」というキーワードで切り込んでいく.
by kunihisaph | 2010-03-06 21:28 | ヘリクツ/疑問/雑学/読書