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日々考えよう


by kunihisaph
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波と風

海の波ってなぜできるか不思議で,でも面倒なのであまり深く考えずにいたんですけど,ちょっと腰を落ち着けて考えてみて,「たぶんこういうことかな」と思いました.

「波」というのは,一般に,物そのものが伝播するのではなくて運動が伝播する現象なわけですけど,海の波っていうのは,水の上下運動が伝わっているですね.だから,問題はなぜその上下運動が生じるかということなのですが,もちろん風によるわけです.

しかし,なんで風で上下運動が起こるかというと,これには「ベルヌーイの定理」という流体力学の定理を知らなければなりません.なぜ(野球の変化球の)カーブが曲がるのかというのを説明するときに使われる定理ですね.

正確には難しい式を書くのですが,言わんとすることは,「流れが速いと圧力が低くなるよ」ということです.有名な実験は,蛇口から流している水の近くに糸に結んだピンポンだまを近づけると水のほうに引き寄せられるというものですね.

水の流れに引きずられて,周辺の空気が移動して,ピンポンだまの蛇口側の流速が反対側より早くなるため,(蛇口側の)圧力が低くなり,そちらへピンポン球が引き寄せられるわけです.

で,海上を風が吹くと,海上側の気圧が低くなります.そのため,海面が局所的に上昇して,風が少し弱まると(風ってずっと途切れることなく一方向に同じ強さで吹いているわけでない),海面が下降します.このようにして起こった上下運動が伝播していくのが海の波の正体なのかな.

ところで,台風が来たときによく「高潮警報」って出されますけど,あれは台風っていうのは要するに「強い低気圧」なわけで,低気圧っていうのは周辺より気圧が低いわけですから,台風がやってくると,海面を押す圧力が弱まって海面が上昇するわけですね.

そうそう.ベルヌーイの定理ついでにいうと,よく飛行機が飛ぶ原理としてベルヌーイの定理が引き合いに出されることがありますが,実は飛行機が飛ぶ原理というのはまだよくわかっていないんですね.
by kunihisaph | 2006-09-29 12:00 | ヘリクツ/疑問/雑学/読書