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日々考えよう


by kunihisaph
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フェルマーの最終定理が証明不可能だとすると真である

サイモン・シン『フェルマーの最終定理』(新潮社)

少し前に評判になっていたこの本,やっと読みました.

おもしれ~.文章がすごくうまい.特に後半の「谷山=志村予想」が出てきたあたりから「どうやって解決に至るんだろう?」とわくわくしながら一気に読めた.

じつはこれまですでにフェルマーの定理関係の一般向け解説書は二冊ほど読んだのですが,どちらも読みづらく,ほとんど飛ばし読みして中身が頭に入りませんでした.しかし,本書は専門用語が出てくるのにもかかわらず,ほとんど気にならない.

フェルマーの最終定理を軸にした数学史入門みたいな感じで,いろいろなエピソードが出てきてどれもおもしろいのですが,ゲーデルの不完全性定理とフェルマーの定理の関連や「なんらかの意味を持つ数学史上最大の数」の話がとくにおもしろかった.

ゲーデルの不完全性定理というのは,単純化していうと,その体系の中で真偽が証明ができない定理が存在するというものです.

で,たとえば仮に,このフェルマーの定理が証明不可能であるとしましょう.すると,フェルマーの定理は「これこれの方程式の整数解はない」という定理だったわけですから,もしこの定理が偽,すなわち,整数解があるとすると,その整数解を示すことによってこの定理が偽であることが証明できてしまいます.そうすると証明不可能であるということに反しますから,フェルマーの定理は真であるはずだということになるわけです(この証明の仕方はメタ的なものなのでかまわない).

ところで,フェルマーの定理の証明を数式をちゃんと追って理解することは,たぶん一生ないだろうな・・・.興味はあるけれど.
by kunihisaph | 2006-11-18 10:45 | ヘリクツ/疑問/雑学/読書