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日々考えよう


by kunihisaph
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親指はなぜ太いのか

島泰三『親指はなぜ太いのか』(中央公論社)

著者はアイアイなどを研究しているうちに,霊長類は歯の並びと手が主食と密接に関係していることを見出す.

そして,人間の親指が太く他の4本の指と向かい合っていること,歯の並びが平らであること(犬歯があまり大きくなかったりする)から,初期人類の主食は骨であったと結論づける.

骨なら他の野生動物が食べ残したものがたっぷりあるし,骨髄などから十分な栄養が採れることも証明されているという.

手の構造は,硬い骨を砕くために,石を用いたのだが,それを持ち易くする為に発達し,歯は硬い骨をすりつぶすために発達したという.

さらに,人間が直立二足歩行なのは,四足歩行だと骨を砕くための石を持ったまま移動するのが不便だからだという.

以上の作者の主張を述べる前に,さまざまな霊長類の食生活のフィールドワークから手と歯の構造が主食と関係していることを見出す過程や,初期人類の主食や直立歩行の理由の先行研究の検討などもある.

そういえば,10年ほど前だったか,一度テレビ番組で「初期人類は水中で進化した」という説を見たことがあるんですけど,あれってだめだめだったのかなあ.

陸上は危険な野生動物でいっぱいだから,水中で主に生活していて,そのときに水上に顔を出して呼吸できるように直立になって,もともと恒温動物の体毛というのは保温のためだけど,水中で生活するのに毛が生えているとと動きにくいし,水中から出たときに毛がぬれていると重いし,体もかえって冷えるということで,毛がなくなった,と.
by kunihisaph | 2007-11-20 11:09 | 人体・生命の不思議