日々考えよう


by kunihisaph
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mixiのほうで「『無神論は神の存在を否定している議論であるが,神の存在を否定するということはすなわち神の存在を前提しているということになるから,無神論はおかしい』という議論を聞いたのだけど,イミフだ,どういうこと?」という質問を受けて,まあ面白い話だからここでも.

まず,『 』内の議論がわかりにくいと思いますが,この問題は,神に限らず,主語に来ているものの存在を否定するような議論ならばすべて成り立つ議論です.

ここでAは「神がいる」と主張し,一方でBは「神はいない」と主張していたとしましょう.すると,これはつまり「Aが存在を認め,Bは存在を認めないようななにかあるもの(今の場合「神」)がある」と言えるわけで,それゆえ「神はいない」という命題は矛盾を犯していることになるのです.

もっと平たく言うと,別に存在言明でなくてもいいんですが,とにかくある命題というのは主語について何らかの主張をしているわけですよね.そして主語について何らかの主張をするということはすでに主語が指示する存在者の存在を前提としているわけです.

さて,クワインという哲学者は,これを主語を消去するという仕方で解決しました.本当は論理学を使って厳密にやるのですが,まあ平たく言うと,「神がいない」とは,
あらゆる存在者の属性を調べて,それが『神である』という属性に一致するか調べてみたけど,一致しなかった

(「あるxについて,xが神であり,かつそれ以外の何ものも神ではない」は偽である.後半部分は唯一神であることを主張している)
ということなわけです.

そうすると,ここでは明らかに神の存在について前提としない文になっているので,OKですね.まあ,実際にこの命題をどうやって証明するかはまた別の話です.

ちなみに,ここには「全能の神は存在するか」という話があります.

「絶対に折れない棒を作っておくれ」と神に頼んで,作ってもらったら「じゃあそれを折っておくれ」とたのむわけです.

もし折れたら「絶対に折れない棒」が作れなかったわけだし,折れなかったらそれはそれで不可能なことがあるということになってしまうわけです.

これと似た議論を,私は,小学生のころ,いままたちょっとリヴァイヴァルしている多湖輝氏の『頭の体操』で読んだ記憶があります.

このとき私が思ったのは,「それって単に人間の論理の限界(もしくは想像力の限界?)を示しているだけでないの」ということでした(まあこのころ「論理」とか「限界」という言葉を使えていたかどうかわかりいませんが,ようするにそういうこと).

単に人間が論理的に矛盾する事態を想像できないだけで,本当に全能の神がいるならばそんなのあっさりクリアするんちゃうかなと思います.
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by kunihisaph | 2006-01-31 19:00 | ヘリクツ/疑問/雑学/読書

さぼっちゃった・・・

今日は久々に京都科学哲学コロキウムの例会に行こうと思っていたのに(そしてついでに3月か4月の例会で発表させてもらう約束を取り付けようと思っていたのに),寝過ごしてしまった.

うーん,どうもこのところだらだらしているなあ.いかんいかん.来月の例会は絶対に行こう.

ていうか,京都遠すぎやし.2時間かかるし.京都の女子高生スカート短いし.

ていうか大阪・兵庫南部の女子高生のスカートが短くないんやけど.いままでいつも学会などでよその土地行く度に,「わ,ここの女子高生スカートみじかっ」と思っていたのですか,行く先々でそう思うということは単に私の住んでいる周辺の女子高生のスカートがむしろ短くないということなんですね.

そういえばこのあたりの女子高生ってルーズソックスブームのときもルーズソックスをはいている子が少なかったなあ.個性的でよろしい.

なんかこんなことばかり書いていると女子高生ウォッチャーみたいだな.別にそういうわけじゃありませんから.

そういえば,むかしいつもミニスカートをはいている美脚自慢の後輩がいて,冬でもミニスカートはいているから「さむくないの?」と聞いたら「寒いに決まっているじゃないすかっ!おしゃれのために我慢しているんですっ!男性はそれを理解してくださいっ!」となぜかキレられてしまった.ごめんなさい.
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by kunihisaph | 2006-01-29 15:38 | 研究生活
よく心霊現象や超能力を信じている人たちは「科学にも説明できないことがある」と言います.これはいったいどういう意味でしょうか.

それが可能性の問題として言っているのか,現に説明できないことがあるということを言っているのか.

後者だとすると当たり前のことを言っているに過ぎません.もしそうでないならば科学者はお飯の食い上げです.説明できていないことがあってこそ科学者は研究ができるわけです.

だが,前者を言っているのだとすればどうでしょうか.科学がどれだけ発達しても説明できない現象というのは存在するのでしょうか.

私はこの前者の意味でも「科学にも説明できないことがある」と思いますが,しかし,おそらく彼らが考えているのとは別の意味合いでそう思います.

仮にいわゆる心霊現象や超能力などが存在するとしても,その存在が実験的にきちんと確かめられたならばいずれ科学的に説明されると私は思います.

まあ,現代科学の基盤が大きく変更になるでしょうけど.ともかく,この場合は結局,「科学にも説明できないことがある」というのは単に後者の意味で言っているに過ぎないことになるわけです.

では,私の言っている「前者の意味でも科学にも説明できないことがある」とはどういう意味か.これは単に,「説明にはいろいろな種類があり,どの説明が求められているかは文脈によって異なる」というそれだけのことです.

いくら未来において科学が発達しても,たとえば,「なんで怒ってんの?」という疑問に対する説明を提供することはできません(もちろん別の文脈ではできます.神経生理学的な説明とか).同様に実存的な問いとしての「なぜ私は存在するのか」なんかもそうですね.

そうすると,心霊現象や超能力現象の信者が,後者のような意味で「科学にも説明できないことがある」と言う場合,それは単に科学的検証から逃げるための口実に過ぎません.

いまは説明できなくとも,本当にそんな現象があるなら,その現象の存在自体は科学的に検証することができるはずですし,それが科学的に実証されたらその現象に科学的説明を与えるための努力も始まるでしょう.

ただし,心霊現象や超能力現象はあきらかに現在確立されている科学の基本法則を無視するような現象なので,そのような現象があることを広く認めさせようと思うと,かなりの努力が必要であることは覚悟しなければならないのはもちろんです.

すくなくとも科学的手法を学んで科学者たちが肯定せざるを得ないような検証方法を考案するべきでしょう.

で,世の中には「超心理学会」というものが存在します.どうやらESPなどの存在をがんばって実証しようと努力しているみたいです.

まだ詳しいことはわからないのですが,どうも中心的な研究は,よくあるカードの記号を当てるとかそういうやつみたいです.

うーん,そういう統計的な手法に頼らないもっと結果の分析しやすい実験はないのかなあ.
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by kunihisaph | 2006-01-16 11:16 | ヘリクツ/疑問/雑学/読書

社会調査のウソ

谷岡一郎『「社会調査」のウソ』(文春新書)

おもしろい.

社会調査は人々にアンケートをとる形になるものが多いので,質問票の作り方や,いつ・どこで・だれに聞くかで全然結果が違ってくることなどを豊富な事例でわかりやすく説明してくれています.

たとえば,ある種の思想などに関する調査の場合,調査の仕方を工夫しないと,そもそもそういう調査にわざわざ積極的に答えるひとはある思想の傾向をもったひとであったりして,あまり意味がなかったりするわけです(たとえばアムネスティーによる死刑制度の賛否の調査とか,環境保護団体による環境に関する調査とか).

あと,キャリーオーバー効果というのも面白かった.最終的に聞きたいことはたとえばある政策についての賛否だったりするのですが,その前にその政策についての質問をいくつかすることによって,その政策にはどういう効果があるのかということを回答者に刷り込むやり方です.調査がわがネガティブな結果を得たいならその政策のネガティブな面を思い起こさせるような質問を,そうでない場合は逆の質問をするという.

それから,そうやって得た調査結果をどのように操作するかで結果が180度変わってくるということこもこれまた実際に例を出して説明してくれていてよかった.オススメの一冊.

ちなみに,さきほど上でリンクした私の記事のような話もあったと書きましたが,この本にあって私の説明で抜けていたのもあります.

たとえば「逆の相関」というヤツです.「ダイエット食品をたくさんとるひとほど太っているひとが多い」という結果から「ダイエット食品は効果がない」という結論を導くことがありますが,これは単に「そもそも太っているひとが太っているからダイエット食品を食べるのだ」というだけだったりするわけです.
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by kunihisaph | 2006-01-14 14:07 | ヘリクツ/疑問/雑学/読書