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日々考えよう


by kunihisaph
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5月も終わり

なんと!いつの間にか五月が終わり.

なんもやっていない気が!

・科研費若手(B)採択.これは助かる.任期満了後も出張や本を買ったりすることができる.

・今週末の学会の準備をした.

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一か月ぶりの日記がこれで終わりもあれなので,最近読んだ本の感想でも.

西村賢太『苦役列車』.

芥川賞受賞作.

う~ん.まずこれは「合わない」.なんか汚くてどうもこういうのはだめ.私小説って辛気臭すぎるんよなあ.ていうか,これ舞台は1980年代半ばとかそんなのなんだなあ.戦後すぐとかそんなのかと思ったよ.

で,個人的にだめ,というのを置いておいてもどうかなあ.いかにも(日本の)純文学然とした私小説ではある.形式通りに書きました,的な.うまいのだろうが,面白みがない.芥川賞の選評では村上龍のものに一番共感した.

「(引用者注:「きことわ」と共に)相応の高い技術で書かれていて、洗練されているが、「伝えたいこと」が曖昧であり、非常に悪く言えば、「陳腐」である」「作家は無意識のうちに、また多くの場合は無自覚に、現実と対峙し、作品はその哲学や人生の戦略を反映するのだ。新人作家に対し、このような注文をつけるのは、『きことわ』と『苦役列車』が質の高い作品だとわたしが認めているからである。」

ちなみに,『苦役列車』を読んで中上健次の『十九歳の地図』を思い出した.あれも読むのがつらい小説でちっとも面白くなかったのだが,ただ,あれは勢いというか,何だかわからないパワーは感じた.

ところで,私小説というのは,主人公がだめじゃないといけないものなのか.まあ,成功している人間が書いたらただの自伝的小説か

しかし,私小説ってどういう需要があるのだろう?小谷野敦が私小説の復興みたいなのをうたっていて本人も書いていて,読んだことがあるのだが,やはりだめだった.なんでこんなものを読まされてないといけないのか?って感じ.まともに社会人をやっている人たちがこれを読んで優越感に浸るためだろうか?
by kunihisaph | 2011-05-31 19:07 | 研究生活