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空間の謎・時間の謎

内井惣七『空間の謎・時間の謎』(中公新書)

ニュートン―ライプニッツの論争に端を発する「時空の絶対説対時空の関係説」論争の歴史を概観する.

時空の関係説的な観点から古典力学だけではなく,一般相対性理論まで再構築できるという話が載っている4章が面白かった.バーバーの本を読んでみようと思いました.

ところで,以前,「相対性理論はマッハの思想の影響を受けている」という話を聞いて,しかしその後,また別の機会に「ド・ジッターが物質のない空の宇宙モデルでのアインシュタイン方程式の解を見つけた」という話も聞き,「あれ?」とおもったのですが,それについてもこの本で少し触れられていました.どうも「平均物質密度」が0なのであって,まったく物質がない宇宙というわけではないようです.ふーん.

ちなみに,本書ではオイラーによる空間の関係説批判が出てくるのですが,最終的にオイラーが空間を実体視していたのか,関係的に捉えていたのかは問題かもしれません.

山本義隆は『重力と力学的世界』ではオイラーの慣性概念の把握に基づいて「オイラーは空間を関係的に捉えてニュートン的な空間の実体視を克服した」としていますが,『古典力学の形成』では「見かけの運動に対置される真の運動なるものを語ることによりNewton的な絶対運動と絶対空間の概念に囚われてはいる」としています(ただしこの後につづけて「…囚われてはいるものの,[とりわけ注目すべきは]現実にはすべての運動が相対的なことと認めていることである.彼が絶対運動に囚われているのは,じつは,すべての力が物体の不可透入性に由来するという,力についての実体論的理解があるためであり,『絶対空間は神の知覚中枢』とするNewtonのような神学的な根拠によるものではない」と書いている).

あと,5章で現代宇宙論の解説をしているのですが,紙幅の関係もあって仕方がないのかもしれませんが,中途半端の感をぬぐえませんでした.まあそこは巻末の参考文献に挙げられているホーキングやW佐藤,グリーン,グースらの解説書を読めということでしょうか.

あ,そうそう.重力エネルギーがなぜ負になるかという話.ここに挙げられている解説以外にも(本質的には同じ説明なのですが)別の説明があります(ところで本著では「インフレーション前後でのエネルギー保存則についてどうなっているかを解説してくれている本は少ない」と書いていましたが,私の記憶ではグースやホーキングの本以外の解説書でも何冊かそこに触れている本を見たような気がします).

重力エネルギーの大きさは距離に反比例するのですが,そうすると,いま問題になっている物質から無限遠では0になります.そして,「自然はつねによりエネルギーが低い状態を実現しようとする」という大原則を考慮に入れると,物質へ近づくほどエネルギーは小さくならなければなりませんから,負にならざるを得ないわけです.
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by kunihisaph | 2006-02-12 13:18 | ヘリクツ/疑問/雑学/読書